ObsidianをCMS化してWebサイトを構築した実体験の記録。きっかけは「散らばるメモを集約したい」という課題。AIと協業して約1ヶ月で公開。AI暴走2回の失敗談、ビジネスモデル検討で「自分用+発信」に切り替えた経緯、今後のObsidian Hub構想まで。結論として、コードより思考整理が9割、AIは道具で人間は設計者。
【Obsidian × AI】メモ帳をCMS化して爆速サイトを作った全過程
仕事のメモ、アイデア、資料があちこちに散らばっていました。
Notion、Google Docs、ローカルのテキストファイル、Slackの自分宛DM。「あのメモどこだっけ?」と探す時間がもったいない。
「1つに集約したい」と思ってObsidianを使い始めたら、ある日ふと気づきました。
「これ、そのままWebサイトにできたら最高じゃない?」
AIを駆使して、約1ヶ月でサイト公開まで実現しました。この記事では、その全過程を共有します。失敗談も含めて。
きっかけ—散らばるメモを1つに集約したかった
メモがあちこちに散らばっていた
仕事をしていると、情報がどんどん増えていきます。
- 打ち合わせのメモ → Notion
- アイデアのメモ → iPhoneのメモアプリ
- 技術的な調査 → Google Docs
- 作業ログ → Slackの自分宛DM
気づけば、情報があちこちに散らばっている状態。
「あのとき調べたやつ、どこに書いたっけ?」
この検索時間がもったいない。何より、情報が繋がらない。Aで調べたことがBに活かせない。
Obsidianなら1つに集約できる
Obsidianを知ったとき、「これだ」と思いました。
- ローカル保存: クラウドに依存しない
- Markdownベース: どこでも開ける
- リンクで繋がる: 情報が網目のように繋がる
- グラフビュー: 思考が可視化される
- 無料: 個人利用は無料
全部のメモをObsidianに集約し始めました。
「これ、そのままサイトにならない?」
しばらく使っていて、ふと思いました。
Obsidianに書いたメモって、そのまま記事になるんじゃない?
- 見出しがある
- リンクがある
- 構造化されている
これ、CMSにできるのでは?
WordPressみたいに別の管理画面を開いて、コピペして、整形して…という手間をかけずに、Obsidianで書いたものがそのまま公開される仕組み。
AIを使えばできるんじゃないか。そう思って、挑戦を始めました。
なぜWordPressじゃなくObsidianなのか
WordPressの問題点
WordPressは素晴らしいツールです。でも、自分には合わなかった。
| 項目 | WordPress | 感じていた問題 |
|---|---|---|
| コスト | 月額1,000円〜 | サーバー代がかかる |
| 執筆環境 | ブラウザ | 重い、オフラインで使えない |
| セキュリティ | プラグイン依存 | 脆弱性が心配 |
| カスタマイズ | テーマ依存 | 自由度が低い |
特に執筆環境。ブラウザで記事を書くのがストレスでした。
Obsidianの魅力
一方、Obsidianは:
- オフラインで使える: ネット環境を気にしない
- 高速: ローカルアプリだから軽い
- 無料: 個人利用は完全無料
- リンクで繋がる: 思考が構造化される
- 自分のデータ: Markdownファイルだから、どこにでも持っていける
「Obsidian = 無料の管理画面」という発想
気づいたのは、Obsidianはすでに管理画面として機能しているということ。
- 記事を書く → Obsidianで書ける
- 画像を追加 → ドラッグ&ドロップでできる
- プレビュー → リアルタイムで見える
- 構造化 → フォルダとリンクで整理できる
CMSの管理画面を別に作る必要がない。Obsidianがそのまま管理画面になる。
あとは、Obsidianで書いたものをWebに公開する仕組みを作ればいい。
AIと一緒に作った全体の仕組み
全体像
作った仕組みはこんな構成です。
Obsidian(執筆)
↓ プラグインで送信
Worker API(データ処理)
↓
R2(データ保存)
↓
Next.js(Webサイト表示)技術的な詳細は省きますが、ポイントは:
- Obsidianで書いたものがそのまま公開される
- 月額コストはほぼ0円(Cloudflare無料枠)
- 複数サイトを1つのバックエンドで管理できる
Claude Codeとの協業
開発はClaude Code(AI)と一緒に進めました。
自分がやったこと:
- 「こういう仕組みにしたい」と設計を考える
- 「この方向でいい?」と判断する
- 「ここ、おかしくない?」と確認する
AIがやったこと:
- コードを書く
- 設定ファイルを作る
- エラーを修正する
自分はほとんどコードを書いていません。 でも、「何を作るか」「なぜ作るか」は自分で考えました。
月額コストほぼ0円
Cloudflareの無料枠で十分に収まっています。
| サービス | 用途 | コスト |
|---|---|---|
| Cloudflare Workers | API処理 | 無料枠 |
| Cloudflare R2 | データ保存 | 無料枠 |
| Cloudflare Pages | サイト公開 | 無料枠 |
かかっているのはドメイン代だけ。年間1,500円程度です。
1ヶ月の開発とAIが2回暴走した話
開発の流れ
約1ヶ月の開発はこんな流れでした。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 01/13 | 開発開始 |
| 01/14 | AI暴走① ディレクトリ削除 |
| 01/16 | AI暴走② 勝手にコマンド実行 |
| 01/17 | API完成、プラグイン開発 |
| 01/24 | ビジネスモデル検討 |
| 01/25 | Obsidian Hub構想が固まる |
| 02/07 | サイト公開 |
順調に見えますが、途中でAIが2回暴走しました。
AI暴走①: rm -rfでディレクトリ削除
開発4日目。AIが勝手にディレクトリを削除しました。
何が起きたか:
ファイルの移動作業をしていたとき、AIが「移動元のディレクトリは空になったから削除しますね」と判断。rm -rf(強制削除コマンド)を実行しました。
問題: 「空っぽで不要なはず」というのはAIの勝手な決めつけでした。実際にはまだ必要なファイルがあった。
学んだこと:
- 「不要だろう」という判断はAIが行うものではない
- 破壊的操作(削除・移動)は常にリスクがある
AI暴走②: 勝手にコマンド連続実行
開発6日目。今度はAIが承認なしでコマンドを連続実行しました。
何が起きたか: テンプレートの整理作業中、AIが「合意が取れた」と勝手に解釈。確認を待たずに、ファイル書き換え → 復元操作を連続で実行しました。
問題: 1つのOKを出したら、10個の操作を勝手に進められた。
学んだこと:
- AIは「合意」を拡大解釈する
- 1つの承認 ≠ すべての承認
「提案は自由、実行は許可制」のルール
2回の暴走を受けて、ルールを作りました。
提案(Proactive Proposal)は自由にやる:
- 「ここにバグがありそうです」
- 「この構成だと将来問題になるかも」
- 積極的に提案してOK
実行(Execution)は許可制にする:
- ❌ 「見つけたので直しておきました」(事後報告禁止)
- ⭕ 「直すためのコマンドはこれです。実行しますか?」(事前承諾)
ワンステップ・ロック:
- ユーザーが「OK」と言うまで動かない
- 許可された1つの操作だけを実行
- 実行後、必ず停止して制御権を返す
このルールを導入してから、暴走はなくなりました。
売ろうとしたけど、やめた話
最初は「これ売れるのでは?」と思った
CMSが形になってきたとき、思いました。
「これ、他の人にも使ってもらえるんじゃない?」
テンプレート販売、API利用料、受託…いろいろなビジネスモデルを検討しました。
WordPressとの根本的な違いに気づいた
検討を進めるうちに、大きな違いに気づきました。
WordPressの場合:
Core → WordPress財団が管理(オープンソース)
↓
テーマ/プラグイン → 自分が作る部分WordPressの代行が成立する理由:
- Coreのバグ修正はWordPress側がやってくれる
- 自分はテーマと設定だけ面倒を見ればいい
自作CMSの場合:
Core → 自分が管理しないといけない ← ここが問題
↓
テンプレート → 自分が作る部分自作CMSで代行が難しい理由:
- Coreのバグ修正も自分がやる
- 自分しかメンテできない
- スケールすればするほど、保守が大変になる
「自分用 + 発信」に切り替えた
結論として、方針を変えました。
売らない。自分で使って、発信する。
理由:
- Core管理の問題がない - 自分しか使わないから
- 運用コストほぼ0 - Cloudflare無料枠で十分
- 複数サイト量産可能 - テンプレートをコピーすれば数時間
- 記事が資産になる - 顧客対応ゼロで積み上がる
「作る → 使う → 書く → 拡張 → 書く」
このループを回し続けると、記事資産と技術力と認知が同時に積み上がる。
やってみてわかったこと
コードより思考整理が9割
振り返ってみると、一番時間を使ったのはコードを書くことじゃなかった。
- 「何を作るか」を考える
- 「なぜ作るか」を整理する
- 「どこまで作るか」を決める
思考整理が9割。コードは残り1割。
そして、その思考整理をする場所がObsidianでした。
AIは道具、人間は設計者
AIにコードを書かせることはできます。でも、「何を作るべきか」は教えてくれません。
| 人間がやること | AIがやること |
|---|---|
| 課題を定義する | コードを書く |
| 方向性を決める | エラーを修正する |
| 判断する | 選択肢を出す |
| 責任を取る | 作業を実行する |
AIは強力な道具。でも、道具を使う設計者は人間。
蓄積するほど濃くなる
普通のAI記事と、この仕組みの違いがわかってきました。
| 普通のAI記事 | この仕組み |
|---|---|
| 「書いて」→ 薄い内容 | ナレッジから生成 → 深い |
| 誰でも同じ | 自分だけのデータベース |
| 量産するほど薄まる | 蓄積するほど濃くなる |
Obsidianにメモを貯めれば貯めるほど、AIが参照できる情報が増える。だから記事の質が上がる。
今後の構想—Obsidian Hubへ
Obsidian = 知識のHub
今回作った仕組みを、さらに発展させたいと思っています。
日常のインプット
├── 音声メモ → 文字起こし → Obsidian
├── 読んだ記事 → メモ → Obsidian
├── 考えたこと → メモ → Obsidian
└── 作業ログ → メモ → Obsidian
↓
Obsidian(知識のHub)
↓
AI × ナレッジ
↓
├── ブログ記事
├── X投稿
├── ニュースレター
└── 他のチャネルObsidianを知識の中心地(Hub)にして、そこからAIを使っていろんな形式で発信する。
思考を貯める → AIで記事化
今は手動で記事を書いていますが、将来的には:
- 思考メモを貯める
- 「このテーマで記事を書いて」と指示
- AIがナレッジベースから記事の下書きを生成
自分のナレッジから生成するから、薄い内容にならない。
サイトだけじゃなく、複数チャネルへ
Webサイトはあくまで出力形式の1つ。
同じナレッジベースから:
- ブログ記事(長文、詳細)
- X投稿(短文、フック)
- ニュースレター(定期配信)
1つの思考が、複数の形式になる。
まとめ
散らばっていたメモを1つに集約したくて、Obsidianを使い始めました。
使っているうちに「これ、CMSになるのでは?」と気づき、AIと一緒に約1ヶ月で実現しました。
やったこと
- Obsidianで思考を集約
- 「これがサイトになったら」という発想
- AIと一緒に仕組みを構築
- 約1ヶ月でサイト公開
失敗と学び
- AIは2回暴走した → 「提案は自由、実行は許可制」
- 売ろうとしたけど、やめた → 自分用 + 発信が最適解
わかったこと
- コードより思考整理が9割
- AIは道具、人間は設計者
- 蓄積するほど濃くなる
思考整理の場が、発信の起点になりました。
今後も「Obsidian Hub」として発展させていく予定です。詳細な技術的な話や、具体的な実装については、また別の記事で書きます。